【浄蓮の滝】心霊スポット概略
・心霊スポット名:浄蓮の滝-じょうれんのたき
・住所:静岡県伊豆市湯ケ島
・ジャンル:水場
・説明:
天城隧道から程近いにある観光名所に「浄蓮の滝」がある。日本の滝百選にも選ばれているだけあって、その見応えは十分であり、また周辺の山葵田もその土地なれではといった感じで独特の景観美を見せてくれる。
この様に、基本的に観光地であり心霊スポットとは無縁といっても良いのだが、ここには少々怖い伝説が実はあるのだ。現地の説明版等に記載されているので、訪れた事のある人ならば知っているかもしれないが、その説明版をもとに、その内容を書いてみたのでご覧になって頂きたい。そして、決して心霊スポットではないのだけれども、そんな怖い伝説を、旅で訪れる機会があった際には思い出して欲しい。
・女郎蜘蛛伝説(現地説明看板を参考に作成)
その昔、ある秋の日に土地の農夫である「与市」が、畑仕事を終えた帰り道の事であった。辺りに闇が込め始めた夕刻の浄蓮の滝付近、足を急がせた与市のその足に何かが絡まり、自由を完全に奪われてしまった。
「何が絡まってきたんだ?」
与市は自由の利かなくなった自分の足を見て、愕然としてしまう。そこには、不気味な色を放ち、しかもやたら太い蜘蛛の糸が絡まり付いていたのだ。
「な…何なんだこれは!!」
尋常でない恐怖に襲われ我を忘れそうになるも、何とかその糸を解く事が出来た。一安心した与市は、何の気なしに蜘蛛の糸を近くに自生していた木に巻き付けた。そしてそのまま家路に付こうとすると、突然蜘蛛の糸が動きだし、巻き付けていた木が引き抜かれ空中に舞い上がったのだ。舞い上がった木は、まるで浄蓮の滝が糸を手繰り寄せるかの様に、滝壺へと吸い込まれて行った。
恐怖に慄き愕然とする与市の耳に、怪しい声が響き渡った。
「今起きた事は一切他言はならぬぞ!」
与市はこの後、この命令を生涯守り通した。また今まで以上に一生懸命に働き、やがて名主となり、滝近くの立入と立木の伐採を禁じる様になったのである…。
時は流れ、与市の代から幾十代かの後裔に「与左衛門」がいた。代々守ってきた命令なのだが、時の流れに恐怖感が薄れてしまったのか気の緩みなのか、与左衛門はこの御法度を忘れてしまう。滝の上の木々を切ろうとしたのだ。力一杯に斧を振りかざし、木に振りかざすと、何故か手から滑り抜けてしまい、その斧は滝壺へと吸い込まれてしまった。
「これは早く拾わねば」
大切な仕事道具である斧を取り戻そうと、滝壺にたまらず飛び込んだ与左衛門だが、そんな彼の目の前に、非常に美しい、しかしそれ以上に不気味さを醸し出す女性が突如現れたのである。
「あなたの捜しているのはこの斧ですね?この斧はお返しします」
驚いた与左衛門は、ただただ立ち尽くすばかりだ。続けてその女性は、念を押すような口調でこう言った。
「私の事を口外してはいけません」
「今後付近の木を切る事もなりません」
そう伝えると、その美しくも怪しい女性は姿を消したのであった。与左衛門は、先祖伝来滝の主、女郎蜘蛛の化身に違いないと今更ながらに気付き、恐怖におののいたのであった。
その時の恐怖は与左衛門のその後にも影響する。その出来事から逃げるように、避ける様に酒に溺れる毎日を過ごす様になってしまったのだ。
そんな日々を続けた与左衛門だが、ある村祭りの宵に、何を血迷ったのか、この話を身振りおかしく話してしまったのだ。その時、突如天候が悪化し雷鳴が轟き、その光が与左衛門の家を真っ二つに引き裂いたのであった。慌てて家に集まった村民は、その無残に引き裂かれた家の中に
不気味な八本の足、らんらんと目を輝かす大蜘蛛
の姿を見たのであった。また、何故か家の主である与左衛門の姿はそこにはなかった。村人が捜すも全くもって見当たらない。行方不明となってしまったのだが、数日後に彼は遺体となって見つかったのであった。発見場所は、浄蓮の滝の滝壺で、そこに恐怖に引きつった表情を見せながら、水面をゆらゆらと浮かんでいたそうである…。
心霊スポット【浄蓮の滝】現地写真
天候がすぐれなかったのが残念なのだが、それでもなお美しい姿の浄蓮の滝である。
この滝壺から現れた女性を想像すると、何とも涼しい気分になる。
訪れたのが、また肌寒い4月で、しかも平日であったのだが、ご覧のように観光客の姿も見られる。さすがといった感じだ。
後ろを振り返れば山葵田が圧巻であった。
水質が良いからこその風景であり、まさに“伊豆”といった感じだろうか。
上に紹介した文章は、この説明版を参考にさせて頂いた。
こうした資料は旅を更に楽しませてくれるので実に有難い。